レーザー溶接「溶接屋(つなぎや)」が人をつなぎ、守口門真を世界へつなぐ

成功のツボ

挑戦:失敗を恐れず、チャレンジする精神と人とのつながりを大切にする
成果:2017年度売上比率で海外取引が50%超え

リチウム電池の端子レーザー溶接加工をはじめとした0.2mm以下のレーザー溶接を強みとする精密溶接のエキスパート、三郷金属工業。この技術を積極的に情報発信することで、一社依存体制から新規顧客開拓へ成功。2012年からは、海外展開に力を入れている

海外で成功する秘訣、それは「順応同化」の精神にあり

 来年、創業70周年を迎える三郷金属工業。3代目社長を務める児島貴仁氏は、事業承継から10年かけてさまざまな変革に挑戦してきたが、そのひとつが海外展開だ。2012年、インドネシアに現地法人を設立。ここを拠点に、現地の既存取引先や今後進出する自動車メーカーに対応する。

2012年末、インドネシアに現地法人「コジマレーザーインドネシア」を設立。ジャバベカに建つ工場では、独自のルートを通じ、現地で材料調達も可能だ

 「4年前から海外に出ると公言して進めてきました。今は工場も稼働し、機動力やコスト対応力を高めています」と児島貴仁社長。
 同社を支える哲学のひとつが『順応同化』だ。これは松下幸之助氏の言葉で「みずからの業務において社会の進歩・変化を見通し、常に改善の心構えを持つこと」との意味だ。半年という短期間で海外に会社を立ち上げた。この驚異的なスピードにも、順応同化の精神が活かされている。
 「現場でのフィールドワークから始まり、言葉を覚え、習慣に馴染む。コミュニケーション=情報発信力だと思っていて、海外では情報が発信できる人、自分の意志を表現できる人に人はついてくる。ぼくはローカルの運転手と一緒に食事をしますが、ふつう日本人はそこまでやらない。そういう些細なことから周囲の見方は変わるし、信頼も勝ち取れると思うんです」

“種蒔き”の重要性−−無駄に見えることも、将来に必ずつながる

 児島氏は「何をするかより、誰とするかが重要」と考えている。2014年に開設された台湾販売商社は、マーケティングの拠点として、デバイスの集積地にある企業から、溶接に関する困りごとのニーズを掘り起こし、製造拠点である日本へ持ってくる役割を持つ。

「チョバ・ドゥル」と「アパ・ボレ・ブアッ」を繰り返し、日々成長していくインドネシア人スタッフ。2名の日本人駐在員も順応同化の精神で、現地に溶け込んでいる

 「ここの代表は以前からおつき合いのあった台湾の会社の人間で、情報交換していくうちに仲良くなりました。彼が会社を辞める時に、信頼できる人だったので、会社をまかせたんです」。インドネシアに進出したのも、台湾で生まれたコネクション経由だという。商売は最終的に「人と人とのつながり」である。そこに至るまでに、どれだけコミュニケーションを持ったかで成否も変わる。
 「仕事に関係ない人と会うことに、なぜ無駄な時間を割くのか、とよく聞かれます。でも無駄かどうかは自分が決めること。今は関係がなくても、つながりを持つことで、後から仕事が派生することもある。そのための“種蒔き”は、絶対に必要です」。インドネシア進出の際も、すでに海外進出した人たちのアドバイスが参考になったという。

知覚動考(ともかく動こう)、失敗の数が成功率を高める

 同社にはこれまで15億個に及ぶ電池に端子をレーザー溶接してきた実績がある。他社が不可能と諦めた溶接を可能にしてきた背景には、試作段階での数え切れない失敗がある。その経験を蓄積し、繊細な金属リチウムにダメージを与えることなく端子を溶接し、長期間の電池寿命を保証する技術を確立した。
 機械調整、レーザー照射の時間、温度など、無限ともいえる組み合わせの中からトライアンドエラーを重ね、技術を研ぎ澄ましてきた。

三郷金属工業の新社屋の入り口には、「溶接屋(つなぎや)」とはいった暖簾が出迎える。ものをつなぐ溶接と人と、人をつなぐ意味を込めた目新しい暖簾が、三郷金属工業の未来を体現しているようだ

 「インドネシアのスタッフがよく使う言葉が“チョバ・ドゥル”。まず試すという意味。それで失敗すると“アパ・ボレ・ブアッ”(仕方ない)と言う。自分もその繰り返しです(笑)」
 30歳で社長に就任した児島氏、最初の5年は社内改革に費やした。ランチェスター経営、3S、IEなど多くの方法論を自社に取り入れ、「外に打って出よう!」との思いから展示会への出展、WEBの立ち上げに活路を見出した。
 「自分の体験から大切にしていることは、知覚動考(ともかく動こう)ということ。知って、覚えて、動いてから、考える。百考は一験に如かず。一回の体験に勝るものはないです」

ブレイクタイム

Q

休日は、どんな感じですか?

A

平日5日間ずっと、動いて考えてやっているので、週末は家族サービスに徹しています。なので休日も、スケジュールは朝からびっしりと埋まっています(笑)。

Q

社員採用の決め手は何ですか?

A

基本はものづくりに興味がある人。そして当社のモットーである、「共汗・共育・共創」に共感してもらえる人がいいですね。

企業概要

企業名
三郷金属工業株式会社
コア技術
レーザーを使った薄板の精密溶接
代表者
代表取締役 児島貴仁
住所
〒570-0048 守口市寺方本通2-13-17
電話番号
06-6992-3334
企業紹介
http://www.m-osaka.com/jp/takumi/5059/
企業HP
http://www.laser-factory.jp
資本金
2600万円
従業員数
120名

認証:ISO/TS16949認証、大阪ものづくり優良企業賞2012、関西ものづくり新撰2015