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研究現場の進化と共に歩む 次世代秒速粉砕機のスゴ技。

岩石、ゴム、プラスチックから生物体まで分析試料の前処理 時間を大幅に短縮するマルチビーズショッカー ®PM2000。 地球深部探査船「ちきゅう」にも搭載。立体8の字運動の原理によって試料を秒速で精密に均質粉砕する。最大 196個まで同時に粉砕可能なモデルもある

近年、研究機関の新技術や新商品の開発スピードはアップし続け、各分野における自動化も加速している。安井器械はその際に使われる科学機器や生産技術開発用試験機の設計製作をしてきた。生物学や地質学、ジャンルは違っても物質の分析に試料調整の粉砕は欠かせない。同社が開発した「次世代秒速粉砕機(マルチビーズショッカー®)」は、卓上に収まるコンパクトさながら、岩石鉱物、臓器、微生物にいたるまで多くの物質を、わずか10秒で粉砕して分析の前処理や各種物質の抽出ができるようにしたもの。
大阪には酒造飲料メーカーや生物系の実験室も多い。そういった会社から連続アルコール発酵装置の開発依頼を受けたのをきっかけに、商社からメーカーに転換。そのなかで1989年に誕生したのがマルチビーズショッカー®だ。「1試料を粉砕する製品は海外製品でもあったが、一度に24試料を同時粉砕できるものはなかった。スピードアップが求められた時代でした」。当時をそう振り返る安井修二代表取締役社長。この製品がブレイクスルーを果たしたのは、名古屋大学のイネゲノム解析に採用されてから。解析の最大の課題は固いイネの葉の粉砕。そこで装置を改良して多数の試料を同時に約7秒で粉砕できるようにした。この時の経験やヒントが開発を加速させ、岩石まで粉砕できるように進化を遂げた「。用途は微生物だけと自分たちは考えていたが、イネにも転用できた。諦めずに続けること、そしてチャンスを逃さないハングリー精神も大切です」。
マルチビーズショッカー®は円周上に配置されたホルダーに試験管のようなチューブ(粉砕容器)を設置。この分析対象物ごとに違う素材のチューブが用意されており、立体8の字振動における均一性を保つために設計されている。「研究者にとって実験で失敗したときに、どのプロセスでエラーが発生したのかをわかりやすくするために、粉砕工程は精密正確な設計をし、粉砕の部分は大丈夫と確証を得られる装置を目指しています」。繊細かつ正確さを求められる機器のもととなる部品は、東大阪や八尾のものづくり企業が担当している。

>紙面からの続き

その実力からマルチビーズショッカーは、私たちの想像を超えるさまざまなシーンで活躍している。大学研究室はもちろんのこと、海洋研究開発機 構地球深部探査船「ちきゅう」に搭載されたり、アンデスのミイラから採取したDNAの解析に使われるなど、研究の世界では身近な装置となっている。「今もっとも脚光を浴びているのは、アスベスト分析の測定現場です。環境分析の分野でも使われることが増えました。BSEが発生したときには感染を防ぐためのバイオハザード対策したものを製造しました。完全滅菌したチューブで密閉状態でも使い捨てできるため、汚染することなく正しいデータを得ることができました」。また科学捜査研究所でも歯や人骨のDNA鑑定に採用されている。こういった発明への功績と粉砕技術が高く評価され、マルチビーズショッカーは平成30年度大阪府知事表彰大阪府発明功績者賞を受賞した。

安井器械株式会社
http://www.yasuikikai.co.jp/
大阪市都島区中野町2-2-13 TEL 06-6353-7291

アルミニウムの原料となる白色の粉末アルミナのように、酸化物の中でもっとも硬度が高い物質や電子基板も、約10秒でこのように粉々に粉砕できる

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