MOBIO入居企業・常設展示場出展企業のスペシャルインタビュー

ものづくり中小企業の変革と挑戦を支援しているMOBIOでは、MOBIO 常設展示場出展企業様・インキュベートルームの入居企業様の「 変革と挑戦 」について、取り組みのきっかけ(背景)、 具体的な内容などをインタビューしご紹介していきます。ここにはヒントが沢山詰まっているはずです。 じっくりお読みください!

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専門知識を駆使した“提案型営業”で新規市場を開拓

株式会社ジョウナン 代表取締役 岩築 伸二 氏

株式会社ジョウナン
代表取締役 岩築 伸二 氏

会社名株式会社ジョウナン
住所〒543-0015 大阪市天王寺区真田山町1-12
電話番号06-6761-9012
代表者名代表取締役 岩築 伸二 氏
設立1961年(昭和36年)
事業内容発泡化成品の二次加工・販売(建築用資材、ガスメータ・家電用パッキン、日用雑貨等)

3代目社長就任後に選択した「変革と挑戦」は、付加価値市場の開拓

▲バーチカルを使い建築資材のカッティング作業中

ジョウナンはポリエチレンやウレタンなどの発泡化成品を、建築用資材やガスメーターパッキン、日用雑貨などの製品に加工する2次加工専業者。得意の建材では、外壁目地の亀裂・剥離を防ぐ「バックアップ材」や、瓦防水やサッシ・ドアの気密用の「Jシーラー」といった自社開発製品も販売している。

創業は昭和32年、当初は羊毛を主原料とするフェルトを素材としていたが、ある商社から、「フェルトよりも安定的に仕入れができる発泡化成品に切り替えませんか」と薦められ、今の事業がスタートした。そのきっかけをつくった商社が、現在の親会社である富士商会だ。

平成11年に創業社長が引退するにあたり、富士商会へ全株式を譲渡。それから10年余り、富士商会幹部が2代目社長として経営を引き継いできたが、「そろそろ生え抜き社員に経営をバトンタッチしたい」との意向で、平成23年に、当時常務だった岩築氏に3代目社長として白羽の矢が立てられた。

入社以来、一貫して製造現場を担当してきた岩築氏は、「社長就任直後から、いっぺんに自分のカラーを出さないように、2年ほどかけてじっくりと会社を観察しました」と語る。熟考の末に導き出した「変革と挑戦」が、付加価値市場の開拓による事業構造の転換であった。

「発泡化成品の加工業を開始してから長らく競合相手はおらず、とりわけ目地用防水資材では、西日本の市場を弊社が独占していました。それがバブル崩壊後10年ほどして、同じような2次加工をする業者が出てきて、一気に価格競争が激しくなっていきました」

若手社員の自主性に任せる営業方針で新規顧客を次々開拓

主力の建築用資材で、このまま価格競争に巻き込まれていてはいずれジリ貧になるし、建築業界が不況になれば、経営がたちまち苦しくなる。 「そこで、付加価値の高い市場へと事業領域をシフトしようと考えました。建材市場に頼り過ぎず、多種多様な業種業態に得意先を広げ、できるだけフラットな売上比率にすることを目指したのです」

そのために、若手社員を積極的に採用し、4人の営業チームを編成。若者たちの自主性に任せる営業を展開してきた。
「発泡化成品は固有の特性を持つ素材で、用途に応じてさまざまな使い方ができます。適材適所の素材と適切な加工を選択するには、それなりの専門知識が必要。そこに、弊社のような加工専業者の存在価値があります。『こんな製品ないやろか?』というお客様のニーズに対して、『こうしたらもっと良くなります』というプラスαのアイデアを加えて解決策を提示する、提案型営業が弊社の強みです」

若手営業チームの努力は実を結び、現在の事業比率は、建材が30%強、ガスメーターパッキンが25%となり、残りの50%近くが新規開拓による雑貨類となっている。新規顧客層は、パッケージ印刷業界や医療、文具、化粧品、キッチン、ペット用品など実に多彩。これまでになかった業種へと、着実に市場開拓が進んでいる。

なかでもパッケージ印刷業界は、これからの成長が期待できるターゲット市場として注視している。依頼を受けるのは、パッケージの中にセットして、商品を固定する特注のホールド材。高級カメラや文具、マイク、仏具など、こんなものまでという注文が舞い込むそうだ。

「小ロット」「短納期」に対応できるのも強み

▲パソコンでCAD入力すると、複雑な試作品も迅速につくりだすカッティングプロッター

20代が中心の営業チームは吸収も早く思考も柔軟、ひいきにしてくれる顧客も増えている。こうした成功体験の積み重ねがさらなるやる気を引き出した結果、自分たちで率先して、就業時間後に勉強会を開催するなどの効果が現れている。 営業スタッフの要望に応じて、実物サンプルがすぐにつくれるカッティングプロッターも導入。図面と言葉だけでは完成品がイメージしにくいが、試作品をプレゼンすることで、提案時の即断即決を増やしている。

営業における提案力と同時に、岩築氏が重視してきたのが「小ロット」「短納期」だ。近年は、コスト対応以上にスピード対応を求める顧客が増えているため、特に短納期対応に力を入れてきた。自社で在庫を持ちたくない建材販売店の要望に応えて、朝注文を受けたら午後には納品できるという、驚異的なスピード出荷体制も整えている。

社長就任後に、新たにつくった経営理念のひとつに、「お客様の思いを形にするため、全員で力を合わせ努力する」との言葉がある。社員の連携を大切にし、一体感を持って仕事をしたいという思いがそこにはある。
「営業が顧客の要望を聞いてくる、工場がそれに応えて機動的に製造する、オフィススタッフが全体の流れを管理する。持ち場の人間がそれぞれの役割を果たし、それが相乗効果的な力となって躍進する企業を目指しています」

そのために、社員に発信続けているのは、基本を大切にすること。

「弊社は創業から50年以上の歴史を持っていますが、創業以来、間違いのない加工と納期の厳守を続けることで、顧客との信頼関係を築いてきました。そういった当たり前のことを当たり前にできるように、何事も疎かにはしない真摯な姿勢を、社員には大切にしてほしいと思っています」

MOBIO担当者より

製造現場からのたたき上げの岩築社長。今でも毎日、現場に入るという。若い人の営業センスと現場の技術・知恵と勘。これらを総動員した提案型営業で新規顧客を開拓中のジョウナンさんです。 (奥田)

取材日:2015年5月26日(火) ライター:三浪 伸夫