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SNSや動画で自社の魅力を発信
ビジネスが広がる、新たなアプローチ戦略

「話題になっているから、とりあえず動画やSNSをはじめてみたけれども、今ひとつ効果が感じられない」。これはものづくり企業の経営者からよく聞く話。しかしそれは、ツールの特徴を活かした投稿や的確な分析ができていないからではないだろうか。SNSや動画には「より自社のことを知ってもらう」、「顧客とコミュニケーションを図ることができる」という大きなメリットがある。またウェブサイトやSNSは開設して終わりではなく、発信する情報を常に更新し続けることが大切だ。今回はSNSや動画などを積極的に活用し、自社や製品のPRで成果を上げているものづくり企業の3社が登場。ユーザー目線に立った飽きさせない情報発信で新たなファンの獲得や、業界の人手不足解消に立ち向かうなど、これらの活用による効果や運営する上での注意点について語っていただいた。

すぐれた機能をいかに「面白おかしく」動画で表現するのか。

大創株式会社
代表取締役社長 大塚 雅一氏

株式会社ガッツ
代表 中辻 大也氏

東尾 当社はパイプとパイプをつなぐ「継手」を製造しているメーカーです。継手は本来ネジでつなぐものが多いのですが、ネジなどを使わず簡単に施工できるオリジナル製品を開発・販売しています。継手は構造的に「抜けない」「漏れない」ことが必須で、特に「抜けない」ことに自社製品の特徴を持たせており、ウェブサイトの動画でもそれを謳っています。
大塚 トップページに動画があるのはいいですよね。これを見てもらうだけでページの滞留時間も長くなります。
東尾 効果的に顧客へ訴求するために、通販番組風の動画配信やSNSと連携したウェブサイトにリニューアルしました。製品の動画は機能を伝えるのに、できるだけ「面白おかしくマジメに」することを心がけています。たとえばレンチ不要の拡管継手「KKベスト®︎(以下KKベスト)」の機能を伝えるために、パイプを継いでブランコをつくり、そこに通水させた状態で100キロを超える社員が漕ぐという内容にして、施工の早さ、強度の高さなど、当社が打ち出している「易施工(いせこう)」を伝える、面白い動画に仕上げました。
中辻 動画の完成度が高いですよね。遊び心があって楽しいです。
大塚 シナリオもしっかりしているし、映画の予告編みたい。
東尾 他にも「KKベスト」=KKBとして、AKB48風に「私でもできる! I CAN DO IT! KKベスト48」もつくってみました(笑)。こういった動画をYouTubeに7~8本アップしています。
中辻 見せ方が面白いですよね。当社も制作風景はGoProで撮影してストックしているのですが、どう使おうか思案中で。それと僕自身もDIYをするのですが、今日はじめてこういう製品が「継手」という名称だと知りました。一般向けには販売されていないんですか。
東尾 当社の製品は一般向けではなく、プロ向けの製品なのですが、それだけでは先細りする。ですから一般の人でも簡単に取り付けられることを伝えています。それと、さきほどのKKBじゃないですが、継手ひとつとっても選択肢があって、お客さんもそれぞれに好みがある。まずは製品を知ってファンになってもらうことが大切なので、インパクトを残すために、半分おふざけでこういう動画をつくっています。
大塚 いつ頃から現在のサイトに変わったのですか。
東尾 2年ほど前です。ウェブサイトはあったのですが、特徴がなくインパクトが弱かった。ちょうど2年前に新製品がいくつかできて、それをアピールする場となると、やっぱりウェブサイトになる。それならサイト自体を魅力的なものに変えなければと、リニューアルに着手したんです。
中辻 社内に動画を作成できるスタッフがいるのですか。
東尾 ウェブサイトや動画はそれぞれプロにおまかせしています。動画はシナリオが大事なのでチームをつくり、枠にとらわれず、いかに製品の良さが伝わるか社員でアイデアを出し合っています。
大塚 社員さんがノリノリで演じているのもいいですね。
中辻 うちのスタッフはSNSリテラシーを気にするUnder 35世代が中心なので、「顔が映る」「名前が出る」とかは絶対NGで嫌がると思う。
大塚 よくわかります。SNSは基本個人なので、個人でつながるのはいいけれど不特定多数に知られるは嫌がる。だから会社のSNSや動画には出たがらない。東尾さんのところは、みなさん楽しそうでうらやましい。

東尾メック株式会社
取締役社長 東尾 清吾氏

SNSを続けるためには、自分たちが心から楽しむことが大切。

「あなたの小さいふを見たい!」と Instagramで「#小さいふ」で投稿された写真をアップ。毎日スタッフによる「ありがとう」の返信も欠かせない

旅先で大活躍する小さいふ®。そこでSNSに投稿された世界各地の写真を、Googleマップにマッピングしていく「旅財布」という企画を展開中

中辻 うちのウェブサイトやSNSは、企画からコンテンツ作成まですべて自社でやっています。専任の担当者がInstagram、Twitter、Facebook、LINEなどのSNSを毎日更新するようにして。SNSをはじめる前は、毎日訪れたくなるようなサイトにするため、コンテンツも試行錯誤してきました。ウェブでは読み物も用意して、たとえば「わかる」というページでは、老舗革問屋の代表が出された本をもとに、マニアックな革の世界のみならず商売や人生のことまで、掲載させていただいています。うちはまだ若い会社なので、このような業界の重鎮に登場していただくことで重厚感も出しています。
大塚 この小さな財布がメインの商材ですか。
中辻 もともと僕自身、財布を持たない人だったんです。右ポケットにお札、左ポケットに小銭をいれてて。それを見かねて奥さんがつくってくれたのが、この「小さいふ®(以下小さいふ)」です。始めた時はどこもつくっていなかったのが、今やラグジュアリーブランドまで、ラインアップに小さな財布を入れるようになって。
東尾 真似がしやすいということですか。
中辻 そうですね。そうなることを見越して、自分たちにしかできないコンテンツを積み上げてきました。10年以上前からつくりはじめた「小さいふ」が軌道に乗っていくなかで、いろんなコラボをさせてもらったのですが、最近は手塚治虫先生とコラボできることになりまして。
大塚 手塚治虫さんとコラボ! それは凄い。
中辻 これもSNSがきっかけで、声をかけていただきました。ところがものづくりされている方の多くが、素晴らしい物をつくっても、なかなか一般の人の目に触れないという点で苦労されていると思うのですが、財布は目に触れやすい商材なので購入されたお客さんがSNSにアップしてくれるんですね。それを専任のスタッフが朝イチで「#小さいふ」をエゴ・サーチして、アップしてくれた方に「ありがとうございます」とコメントを返すようにしているんです。
東尾 全員にですか。SNSはそれくらいしないとダメなんですね。
中辻 イメージとしては、リアルな店舗で接客するような感じです。そうして返信をした方のなかに、手塚治虫先生の娘さんの手塚るみ子さんがいらして、お返事をいただいたんです。僕は手塚ファンなので興奮してすぐ返信したら、先方からコラボの話をいただけました。昨年からスタートして、今年は第2弾として鉄腕アトムをリリース予定です。10年後に手塚先生が生誕100周年を迎えられるので、毎年ひとつづつ作っていって100周年までやりたいなぁ、と思っています。そういう感じでSNSは横に広がりやすいですね。
大塚 「旅財布」も面白いですね。
中辻 小さいふは旅行に持っていくのに便利で、現地で写真を撮ってSNSに投稿してくれる方が多いんです。それなら旅財布と銘打って皆さんに投稿いただいた世界各地の写真をGoogleマップに投稿しようと。これもお客さんを楽しませるという意識でやっています。「小さいふ」で旅写真コンテストなどを企画して、入賞の方には新しい小さいふを送ってます。
大塚 SNSってやっぱり効果はありますか?
中辻 フォロワーが3,000人を超えたあたりから、効果が見えるようになりました。テレビでとりあげられると2日で1,000個売れたりしますが、SNSはなにより継続が大切ですね。たとえば「世界に1つの小さいふ」として、1日1個SNSに上げるようにしていて、今では約3,000個がアップされています。

サイトを分析して、顧客が本当に求めるものを知ること。

大創では専任の担当者がFacebookを日々更新。こちらで告知してウェブサイトに誘導する流れをつくっている

ベニヤ板にレーザーで溝加工を施し、溝の形状に合わせて曲げられた刃物を埋め込んでいく、専門性が高いトムソン型製造

大塚 私たちがつくっているのはトムソン型といって、パッケージなどの原型になるものです。大手コンビニのオリジナル商品とか、みなさんが目にしているものも多いです。顧客が求めるデザインに合わせて、CADデータをつくり、ベニヤ板をベースに折り曲げるための罫線を入れてパッケージの原型をつくっていきます。ウェブ活用に関していうと、ウェブサイトはショーケース、SNSは簡単な告知や交流ができる場所、と使い分けています。拡散しやすいSNSで自社商品の告知をして、ウェブサイトで内容を見てもらう「きっかけづくり」といいますか。
中辻 SNSはFacebookだけなのですか。
大塚 Facebookもページビューがまだまだ少ないので、他のSNSには手を出さなくてもいいかなと。当社はBtoBが基本ですが、その中にもBtoCの関係になりうる人がいて、その方々を「いかにコアな大創ファンにしていくか」ということをWeb戦略として描いています。今、マーケティングオートメーション(MA)ということがよく言われますが、「誰がサイトを訪れているか」を把握できる時代になっています。見込み客がサイト上でどういう行動を取ったのか、閲覧ページや閲覧順、滞在時間、ページ読了率、流入元情報、訪問回数などの詳細な分析データまで取得できます。顧客管理のためにセールスフォースというCRM(CRM=Customer Relationship Management/顧客関係性マネジメント)を導入して、この数値が上がったら何かアクションを起こして顧客をつかんでいこうとしています。
東尾 ウェブサイト内の行動をすべて把握されているんですね。
大塚 登録した方だけですが。名刺交換をさせていただいたらセールスフォースに登録して、顧客情報を作成します。その方が当社のサイトを訪れると記録が残るしくみです。
中辻 もうそんな時代なんですね。ちょっと怖いですね(笑)。 
大塚 そうなんですよ(笑)。誰が何に興味を持って見ているかも分かりますから。これまで「どんな方が見ているのか」というのは、BtoBでは分からなかった部分。それが可視化できるようになった。私たちの業界は好調なのですが、日本の市場は縮小傾向にあり、そういったパイが減少していくなかで売り上げを守ることは、いわば下りのエスカレーターを一所懸命駆け上がっていくようなもの。だからこそお客様の目的や興味をしっかりわかったうえで、アプローチしていくことが大事だと考えます。それがMAでプロスペクト(見込み客)を把握するという方法を選択した理由です。あとは動画に力を入れたいのですが、まだまだできてない。特に今日は東尾さんの動画を見て衝撃を受けましたから(笑)。
東尾 製品の機能を正しく伝えているから、そういうこともできるのだと思います。うちは新製品ができたら、それをいかに「面白おかしく」伝えるかを追い求めていましたが、ウェブの制作サイドからするとそれだけでは広がりがないというか、難しくなってきています。ですから次に出す新製品では、「マジメに」正攻法で機能をきっちり伝えるということもやろうとしています。
大塚 機能を伝えるということは、シンプルなことだけにいちばん難しいと思っていて。だからこそ、それを上手くつくられているのが素晴らしい。真面目さだけにとらわれすぎない社風が動画からも伝わって、いいですよね。ただ私がああいう感じのものをつくろうとすると、きっと社内で止められる(笑)。
東尾 うちは会長が、私以上に「面白いことをやれ」という人なんですよ。

頻繁な更新やコンテンツの多彩さ。SNSやウェブ運営に求められることとは。

人気動画「KKベスト®︎でブランコをつくってみた」。他にも「東尾メック 本気の耐久実験! おっぞんくんvs10人の男たち」など見逃せない動画がいっぱい

東尾メックのコンセプトのひとつである「易施工」。建設現場の人手不足解消に役立てるために「易施工」をテーマとして継手を開発し、指導動画も配信している

中辻 クアトロガッツでは「旅」や「小さい」がメインのキーワードです。「小さいふ️」は商標登録しています。これは登録するだけではダメなんです。普及して一般名詞になると商標の効果を失ってしまうので、他のメーカーが「小さいふ️」を使用している場合はコメント欄で注意するなど、愚直にやっています。
大塚 うちでは抜型をトムソン型と呼んでいますが、この名称も地域によってまちまちで統一されてないので、「トムソン型」というキーワードは入れるようにしています。
東尾 うちも大切なのは製品名ですね。以前オゾン層を守る冷媒継手を開発したときは、「おっぞんくん®️」と名づけました。競合製品とかぶらず、検索しやすい製品のネーミングは大切だと思います。
大塚 中辻さんにお聞きしたいのですが、SNSでの反響は売上に反映されるものなのですか?
中辻 企画物でちょいちょいバズったりはしていますが、いちばん手応えを感じたのは、毎年3月におこなっている『伊達政宗×クアトロガッツ 震災復興支援チャリティー 』です。東日本大震災の翌年から自分たちでできることを考えていて。調べてみると伊達政宗が統治していた時代にも東北で大きな地震があって、その復興に政宗が尽力したことがわかった。そこで伊達政宗の陣羽織の柄「紫地羅背板五色乱星」をモチーフにつくった革で「小さいふ」をつくり、Official web shopでの3月度の売り上げ全額を「東日本大震災みやぎこども育英募金」へ寄付しています。その取り組みが浸透してきた2015年、Twitterでバズりました。通常なら30個くらいのオーダーなのですが、数日で150個のオーダーがあって。それは「世の中に対するいいこと」と「自分たちがやっている面白いこと」が、一致して認知された瞬間だと思います。
東尾 「バズる」ってどういうことですか?
大塚 ネット上で一躍話題になって、爆発的に拡散されることです。東尾さんのところだと大ヒット動画はどれですか?
東尾 いちばん最初に思いついた「35秒」と「KKB48」ですね。
中辻 反響と逆に気をつけていることといえば、炎上するようなことは絶対しない(笑)。
大塚 当社の場合、ネット活用の目的は自社セミナーに参加してもらうこと。それが結果としてコアなファンを生んで顧客になっていただける。そこに誘導するためにはウェブで商品ばかり紹介してもダメ。なので、コンテンツを増やしていくために各部門長に担当してもらい、ローテーションでアップしていくようにしています。ただ部門長は持ちうる知識や技術を見せたくて、たまに公開してはいけない情報も入っているので、そこは気をつけています。お客様との契約にも違反しますし、またそこまで見せてしまうとウェブがフックの役割を果たさないので。答えを出さないギリギリのところでまとめて、興味を持続させるように気を配っています。
東尾 うちは「面白おかしく」が基本ですが、根底にある真面目なところを見せるようにはしています。またアクセス数を伸ばすためにGoogleのアナリティクスのレポートを毎朝チェックして、さきほど大塚さんがおっしゃっていたように、セッション継続時間やどのページが見られているかは確認しています。

SNSや動画による情報発信の可能性。それを今後、どう活かしていくか。

大塚 私自身がFacebookをしていて思うのですが、社長がSNSを頻繁に更新するのは難しいですし、プライベートについても書きながら会社の話題に引き寄せる工夫も必要。プライベートをどれだけ出すのかの線引きも難しいですよね。
東尾 中小企業なので「自分が先頭になってやらないと」という意識はありますね。知り合いの旅館の女将さんなんかは、1日に4、5回投稿して集客に成功しています。自分がウェブの運営に関わるようになると、そういう人のSNSとか、違った視線で見られるようになりますね。
中辻 僕個人でSNSはやっていませんが、知り合いのフラワーアレンジメントの先生が、SNSに花の写真を365日アップし続けていたら、韓国からメールがきて現地での講師のオファーがありました。海外とダイレクトにつながれるのも魅力です。
大塚 中小企業の経営者はFacebookをやっている人が多く、そこでもつながれますよね。それとSNSはセルフ・ブランディングに最適な気がします。
東尾 今後うちは、製品を使っていただくことでファンになっていただきたい。2年間動画をやってきてそれなりに利用者も増えたので、「こういう使い方をすると便利」とか、「速くできる」とかをお客さんから逆に教えてもらうなど、双方向でできれば。小まめに動画をネットにアップして、SNSでやりとりができるようにしたいですね。
中辻 うちは人も少なくできることは限られていますが、今後は動画も手がけたいですね。それといつか海外に進出したいと考えていたのですが、そうなるとコンテナを借りたり、通関業務をしたりハードルが高い。そこで逆に考えて、海外から来られた観光客の方が購入して持って帰ってくれたら、それが結果として輸出になるかなと。
大塚 「日本でしか買えない」のが逆に値打ちになりますよね。
中辻 そうです。日本的なものを革製品にのせて観光客に持って帰ってもらえれば。モチーフはいくらでもあるし、可能性が広がります。
東尾 可能性という点では、当社では「易施工」をコンセプトに掲げています。いかに簡単、確実に施工できる製品かをアピールするためにつくった言葉ですが、現場での人手不足の解消に役立てればと考えていて。製品には自信を持っていますが、新しい製品なので職人に正しく扱ってもらうためには施工指導が必要。そこで自社サイトで「免許証」を発行しようかなと。
大塚 「免許証」ですか。
東尾 今までは現場での指導後に受講証明書を発行していたのですが、日程が急な場合などは現場ではなくウェブで動画確認していただいていた。それをさらに一歩先に進めるために、施工動画でオンラインセルフ講習をしてもらい、用意したテストで理解度を確認して受講証明書を発行するとかね。
大塚 当社は3つ目標があって。まずは動画とECサイト。今頑張ってECサイトを立ち上げていて、これによって営業が不要となり人手不足の解消が期待できますし、キャッシュフローも良くなる。それとトムソン型にQRコードをつけて、SNSで「いいね」してもらえるようにすること。「いいね」をもらったら、ポップアップでその人にぴったりな新商品情報を送る、そんなしくみもつくりたい。相互のやりとりで私たちも勉強になりますし、製造担当にとってもモチベーションアップにつながります。

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