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ものづくり企業の次の一手は? 毎号6つの旬な記事で熱い「変革と挑戦」を紹介するモビロク。
現状打破のヒントやモチベーションアップにつながります。

ペットのオーラルケアに着目し
一社依存から脱却、
メーカーへ進化。

小型犬に特化して毛の長さを6.5mmとし、植毛数は通常の5~10倍、犬の口内にブラシが多くあたり汚れた部分をキレイに磨きあげる

八尾の地場産業である歯ブラシ業。多くの企業がひしめくなか、その事業形態も一貫生産から加工専門までさまざまだ。創業70年を超える多葉刷子工業所は3代目となる多葉宣宏代表取締役によって、今新たなジャンルを開拓している。先代までは1社のみにOEM供給をおこなう下請けで、そこで培われたのが天然毛の植毛技術。「天然毛は一般的なナイロン毛よりも柔らかく、植毛が難しいのですが、当社は特別なラインを設けて製造を可能にし、技術を蓄積してきました」。しかし経営的には一社依存のため売上の浮き沈みが激しかった。
転機となったのは2017年、八尾商工会議所で「おおさか地域創造ファンド」助成金を紹介された。そこでかねてから心に留めていた「犬用の歯ブラシ」を形にしようと決意。きっかけは、義母が飼っていたトイプードルが歯垢のせいで口臭が気になり、動物病院へ連れて行くと全身麻酔で数本抜歯されたと知ったからだ。採択され、はじめての自社商品開発がスタート。多葉氏は動物病院やペットサロンに通い、「犬は人間に比べて歯周病になりやすく、歯磨きの重要性を知る飼い主も多いが、犬が嫌がるため断念している」という現状をヒアリング。アドバイスをくれた八尾のとよなが動物病院の豊永先生からは「とにかく柔らかく、安心なものが欲しい」と聞かされる。
そこで手がけたことのあるウマ毛に着目。これなら柔らかく、天然素材なので犬が噛んで飲み込んでも安心。さらに柔らかさを求めて化粧刷子用のヤギ毛にたどり着くが、毛が細すぎて通常の植毛方法では製造できない。そこで既存設備の部品を削り、植毛を可能に。そうして天然毛ペット用歯ブラシ「MIGAKENDE(ミガケンデ)」が完成した。2019年10月の発売以降、全国展開のペット専門の問屋での取り扱いもはじまり、2020年12月には自社のECサイトもオープンさせ売上も順調に伸びている。「ペットの歯ブラシからはじまった事業ですが、今後は“口腔ケアから健康寿命を延ばす”というコンセプトを守った口腔ケア製品で、新たな展開を見せたいです」

>紙面からの続き

「餅は餅屋」に徹することで
個性的なネットワークを形成。


多葉宣宏氏が代表取締役に就任したのは、工場長だった37歳のとき。先代から突然後任を任された。しかし以前修行していた職場では営業担当、そして入社後は現場しか知らず、経営や経理はわからないことだらけ。決算書類の見方も知らず、一社依存で赤字続きの数字に疑問を持つも社内改革ができずにいた。そんな折、紹介された税理士が多葉氏の疑問に的確に答えてくれた。また結婚したばかりの妻が簿記資格も習得し、経理部門を安心して任せられる状態となった。「その税理士には顧問になってもらいアドバイスをもらうなかで、やはり一社依存は危険と言われたので、営業活動をはじめました」
取引先が増えるなかで、材料調達から製造、梱包までの一貫生産が確立される。「そこからうちなりのやり方を模索した結果、助成金でつくったオリジナル商品がヒットしたんです」。メンバーにも恵まれた。そもそも多葉氏には人を惹きつける魅力があり、「餅は餅屋」と相手の専門性をリスペクトして必要以上に口を出さないスタンス。そういう姿勢に「ここなら面白いことができそう」と協力者が集まり、彼らがまたユニークな人材を集めてくる、そんなゆるやかなネットワークもできつつあり、それが同社の躍進を加速させている。


有限会社多葉刷子工業所
https://tababrush.com/
八尾市久宝寺4-2-38
TEL 072-922-3429

毛の硬さは3種類。左から天然毛のなかでもっとも柔らかいヤギ植毛、中間のヤギ&ウマ植毛、確かな磨き心地のウマ植毛。歯磨きの慣れや成長に合わせて使い分けられる

獣医と共同開発した柔らかな天然毛歯ブラシ「MIGAKENDE」。上質なマット紙のパッケージには社員が考案したブランドマークが光る

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