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MOBIO入居企業・常設展示場出展企業のスペシャルインタビュー

ものづくり中小企業の変革と挑戦を支援しているMOBIOでは、MOBIO 常設展示場出展企業様・インキュベートルームの入居企業様の「 変革と挑戦 」について、取り組みのきっかけ(背景)、 具体的な内容などをインタビューしご紹介していきます。ここにはヒントが沢山詰まっているはずです。 じっくりお読みください!

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3Dプリンターを駆使して、短納期・中量生産市場に挑戦

株式会社大成モナック 代表取締役 栗原 俊哉 氏

株式会社大成モナック
代表取締役 栗原 俊哉 氏

会社名株式会社大成モナック
住所〒578-0912 大阪府東大阪市角田1-5-8
電話番号072-966-8885
代表者名代表取締役 栗原 俊哉 氏
設立1969年(昭和44年)
事業内容モデリング設計開発、工業デザインモデル製作、展示模型製作、農業機械・部品製造

新規事業開拓を目指して、10年前にM & Aを実行

大成モナックは、昭和44年に工業用材料販売商社として創業。3年後にチェーンソーや草刈機などの小型農業機械製造業へ転身して、現在の企業基盤を築いた。特に高性能のフレキシブルシャフトを備えた草刈機のヒットで業績を伸ばし、平成11年には中国にも進出するなど海外工場を設置し、国外でも売上を伸ばしてきた。

大手電動工具メーカーのOEM生産も受託するようになり、好調な経営を続けていた同社では、次なる成長の一手として、M&Aを活用した新規事業開拓に取り組むことを企図。平成15年に銀行の仲立ちで、プロダクトモデルの設計・製作を手がける株式会社モナックの全株を取得した。平成18年にはモナックを吸収合併し、現在の社名「大成モナック」へと変更。「平成20年には本社工場の完成を機にプロダクトモデル事業部門を新本社に統合し、3ヵ年計画でモデル部門の強化に取り組んできました」と栗原氏は、これまでの取り組みを説明する。

「モデル事業を手がけて10年になりますが、営業活動や売り方については、今も悩みながら試行錯誤を続けています。MOBIOでモデル部門の展示をしているのも、何か新しい出会いや発見があるのではという期待を込めてのことです」

「真空注型成形品」と「塗装」の技術力が大きな強み

▲これも塗装したプラスチック。右の未塗装部と比較して初めてわかるほど

モデル事業部が手がける作品は、博物館に展示する化石のレプリカ、新幹線の車輌模型、巨大ディスプレイ展示品などの一品ものから、工業製品の試作品まで多種多様だが、量産品ではないので市場規模はごく限られている。リーマンショック以後は、その限られた市場に、自動車産業界の同業者が流れ込んできたため、関西の市場も一気に過当競争に転じた。そうしたなかでも、同社が勝ち残ってきたのは、2つの大きなオンリーワン技術があったからだ。
そのひとつは、モナックが創業以来、独自のノウハウを蓄積してきた「真空注型成形品」の製造技術である。金型を使わず、シリコンゴム型で15~20個程度までの樹脂製試作品をつくることが可能。独自開発した設備によって、成形時に発生する気泡を極限まで低減させる高度な技術を確立しているので、透明パーツを組み合わせたカットモデル試作品の美しさでは、同業他社の追随を許さない。

「もうひとつの強みは、塗装技術です。例えば金属部品でも、試作品は会議や打ち合わせで見せるだけというメーカーであれば、試作品が本物らしく見えればそれで問題はない。そこで手軽な樹脂で成形して、金属らしく塗装を施すのがうちの仕事。要求の厳しいメーカー担当者が、『大成モナックさんの試作品は、本物より金属らしくて美しい』と舌を巻くほどの評価を得ています」

シリコンゴム型と樹脂を金属に置き換えて新規事業開拓

▲アンモナイトの化石作品。白く粉をふいたところまで塗装で再現しているのに驚かされる

優れた強みを持つ同事業部だが、このまま試作品市場だけに固執していても大きな飛躍は望めない。そこで栗原氏が目標として掲げた「変革と挑戦」が、モデル事業部の強みを活かした新たな市場開拓である。

「M&Aから10年経過したので、いい加減に結果を出していかないと合併した意味がない。今までのような少量多品種の職人仕事中心ではなく、短納期をウリにした量産品事業を開拓しようと考えています」

そのために栗原氏は平成23年、中国工場に射出成形機を、本社には2千万円を投じて話題の3Dプリンターと3Dスキャナーを導入。「大きな方針を示して投資はするから、あとは自分たちで考えて事業拡大に取り組んでほしい」と、退路のない背水の陣であることを自覚させた。

設備投資と同時に栗原氏が示したビジネスモデルは、これまでシリコンゴム型と樹脂でやってきた仕事を、金属に置き換えるというものだ。同部門のノウハウと粉末金属プリンター(現在導入計画中)があれば、通常数ヶ月かかる金型製作を、3Dプリンターを活用して2週間程度に短縮でき、多品種中量の金属部品を短納期で製造できる。十分なロットも納期もないので誰も手が出せない、ニッチな量産品市場を狙おうという戦略だ。

実際、電動工具メーカーから「2週間で納品して」とムチャぶりされた樹脂部品を、納期内に量産できたのを目の当たりにしたモデル事業部のスタッフたちは、「社長がイメージする新規事業とはこういうことか」と、初めてその面白さを理解したという。社員のモチベーションが高まりつつあるのを感じた栗原氏は今年度、NC旋盤とマシニングセンターを導入して、いよいよ事業を本格化させようとしている。

「例えば、シリコンゴム型で15個つくったフィギアが好評だったので、あと100個つくってと言われた時に、3Dプリンターと金属金型加工設備、中国工場の射出成形機があれば対応が可能。また、農機具分野では、年間300個程度しか出ない部品が多数ありますが、そういう中途半端なロットの製造でも、このビジネスモデルは使えます」

同事業部に課したこの新たなチャレンジには、実はもうひとつの意味がある。栗原氏は、「この挑戦を通じて、合併した2つの企業を本当の意味で融合させたい」と考えている。両社員が合流して10年になるが、エネルギッシュな“体育会系”と職人気質の“アキバ系”というくらい企業文化や社風が違うため、いまだにお互いが遠慮し合っているような関係が続いている。

「本当の融合を実現するには、社員皆が初心に戻ること、人心の一新が必要です。モデル事業部のスタッフには、積極的に海外出張をさせてアグレッシブな国際ビジネスの経験を積ませ、両部門間の人事交流もしていくつもりです」

M&Aから節目の10年を迎え、いま同社は第2の創生期に挑戦中だ。

MOBIO担当者より

少ない力で大きな効果を得るという富山弁の「ごまげ」スピリットを活かし、あくなき挑戦を継続される栗原社長。3D関連の設備投資と日本や中国工場活用による「中量生産」という新市場開拓により、社内融合の強化を図っておられました。(兒玉)

取材日:2014年2月5日(水) ライター:三浪伸夫

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