tel06-6748-1011

営業時間:9:00~17:00
休館日:土日祝・年末年始

MOBIO入居企業・常設展示場出展企業のスペシャルインタビュー

ものづくり中小企業の変革と挑戦を支援しているMOBIOでは、MOBIO 常設展示場出展企業様・インキュベートルームの入居企業様の「 変革と挑戦 」について、取り組みのきっかけ(背景)、 具体的な内容などをインタビューしご紹介していきます。ここにはヒントが沢山詰まっているはずです。 じっくりお読みください!

pick up company 099

製品化まで約20年。「無軸スクリューコンベアはうちがつくる」という決意

株式会社新光工業 代表取締役社長 後藤 経雄 氏

株式会社新光工業
代表取締役社長 後藤 経雄 氏

会社名株式会社新光工業
住所大阪府東大阪市長田中 4-4-18
電話番号06-6744-8889
企業HPhttps://www.kk-shinkokogyo.co.jp/
代表者名代表取締役社長 後藤 経雄 氏
設立2002年
事業内容搬送装置(無軸スクリューコンベア(シャフトレスコンベア))製作・販売

無軸だから搬送物が軸に絡まない

株式会社新光工業の主力製品は無軸スクリューコンベアである。スクリューコンベアとはトラフ(U字溝)やパイプの中に軸を通し、その軸に羽根を螺旋状に取り付けて軸を回転させることにより処理物を搬送する装置のことだが、同社が製造販売するスクリューコンベアには軸がない。『有軸』と『無軸』。その違いはなにか。「それは搬送する処理物が軸に絡まないこと」と同社の後藤氏は話す。
構造上、有軸スクリューコンベアは途中で搬送物がつまったり、それが原因で軸が折れることがある。そうすると修理に数日かかり、その間、操業が停止する。そのため使用者は予備のコンベアを持ち、メンテナンス費用を見込んでおかなければならない。一方、同社が開発製造した無軸スクリューコンベアは搬送物のつまりや絡みがない。中間軸受けが不要なため安定した長距離搬送が可能なうえに、スクリューが低回転のため低騒音という特徴がある。有軸の持つ複数のデメリットを解消した。
もともと、無軸スクリューコンベアはイタリアから入ってきた技術だという。当初、その効率性の高さを知った後藤氏は海外に行って無軸スクリューコンベアを買い付け、自社でアッセンブリしたものを国内の企業に販売していた。しかし、外国から買い付けてきた製品は故障が多かった。日本製を購入しようにも国内で無軸をつくるメーカーはない。「それならうちがつくろう。何年かけてもいいから無軸スクリューコンベアをつくってみよう」。そこから後藤氏の挑戦が始まった。約20年前のことである。

門前払いは日常茶飯事の苦しい営業

今でこそ名だたる大手企業が同社の無軸スクリューコンベアを評価し、用途は広がりを見せているが、そこに至るまでの道は険しかった。「27年前に開発を決意し、ようやく製品化にこぎつけたのが10年前。そしてやっと世間に認められるようになったのが6年前です」と後藤氏。開発の苦労は数え切れないというが、なかでも大変だったのは営業だった。「まず、うちがつくった製品だと信じてもらえないんです。追い返されるのは日常茶飯事。〝これ、外国の会社がつくった製品やろ″と言われ、目の前で名刺を破られたこともあります」。でも、負けていられなかった。当時の新光工業の社員は後藤氏と息子を含む6人。「なんとしても家族を養っていかなければならない」。その一心で営業を続けたという。
ある時、ミルシート(材料証明書)を提示することを思い立つ。外国製品にはミルシートが出ないため、それを出すことで無軸スクリューコンベアが正真正銘の自社製品であることを証明したのだ。そうして営業体制を整えつつ大手企業を訪問する日々約2年。ようやく国内有数の大手メーカー2社が同社の製品を採用をしてみると連絡がきた。「毎週、東大阪から東京の本社に通いました。門前払いが続いてずっと会ってもらえなかったんですが、ある時、開発製品に関心のある担当者が、“後藤さんの言うことは信用できそうだから一度使ってみよう”と言ってくれたんです」。一社は31m、もう一社は28m、いずれも下水処理施設で使用する汚泥搬送装置として使われることになり、使用後の評価も高かった。そこから後藤氏はありとあらゆるところに名刺を配り、営業を拡大していく。今では発注元リストに有名企業が名を連ね、同社の売上も当初の約5倍を見込めるまでになった。

用途に応じた製品を設計、製造するのが同社の強み

間違いのない製品をつくるためには試作が命

苦労は営業だけではない。製品開発面でも試行錯誤の連続だった。引き合いがあれば必ず現地を訪問し、搬送物やコンベアの長さを確認することを徹底した。同社の無軸スクリューコンベアは下水処理場、産業排水処理施設、製紙工場、焼却プラントなどに使われており、人の排泄物、ゴミ、産業廃棄物などありとあらゆるものを搬送しなければならない。その搬送物に耐えられる製品なのか、後藤氏は「試作が命」と設計段階にもっとも力を入れている。「まず、搬送する汚泥や産廃物を借りてきます。それを使って機械を1週間回しっぱなしにするんです。そこで問題なく稼働すれば製品として合格点」。このように徹底した試作を経てつくられた同社の無軸スクリューコンベアはこの8年間で故障がない。クレーム率は0.006%という数字を誇っている。
最近、ニーズとして多くなっているのはバイオマスの装置だという。「最大熱800℃発生の時点まで搬送物を運ばなければならないので、人間では絶対に無理なんです。うちは熱の中に放り込んでも耐えうる50mのスクリューコンベアをつくり上げました。これは世界でもうちにしかありません」と後藤氏。今後の目標はなにか。「自社工場を持つことです。通路を大きく確保して、自由にレイアウトできる工場をつくりたい。現在借りている工場では最大35mのスクリューしか実験できないんです。それ以上の製品はお客様の場所を借りて最終確認をしています。間違いのない完全な製品を出荷するためにも、より安全性の高い体制を整えたい。夢は自社工場で100mの製品をつくることです」。無軸スクリューコンベアの用途は無限にあると後藤氏は確信を持っている。

熟練工の溶接により、強固なスクリューを提供する

MOBIO担当者より

「日本製がないなら作ろう」という、強い決意から生まれた『無軸スクリューコンベア』、それは、後藤社長の温和な人柄と粘り強い行動力が、まるで写し鏡のようにスムーズな回転バランスと、静音且つ確実な搬送力を実現できる製品・装置の誕生に結び付いています。
オンリーワンの技術と装置は、さらなるバリエーションを加えてお客様第一主義で具現化されることと思います。

MOBIO 村井

2023年 12月19日(火)ライター 荒木さと子

ものづくりの探し物を見つけよう!

ものづくりの探し物を見つけよう!

MOBIO常設展示場

大阪府認定の匠企業紹介

大阪府認定の匠企業紹介

大阪のものづくり看板企業

お申込み

お問合せ

サイト内検索

企業検索約1,000社からPickup!

キーワード検索が可能です。
企業名、技術名等で検索してください。

pagetop