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MOBIO入居企業・常設展示場出展企業のスペシャルインタビュー

ものづくり中小企業の変革と挑戦を支援しているMOBIOでは、MOBIO 常設展示場出展企業様・インキュベートルームの入居企業様の「 変革と挑戦 」について、取り組みのきっかけ(背景)、 具体的な内容などをインタビューしご紹介していきます。ここにはヒントが沢山詰まっているはずです。 じっくりお読みください!

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ものづくり現場のお困り事を一刀両断で解決

株式会社新日本テック 代表取締役社長 和泉 康夫 氏

株式会社新日本テック
代表取締役社長 和泉 康夫 氏

会社名株式会社新日本テック
住所〒538-0035 大阪府大阪市鶴見区浜2-2-81
電話番号06-6911-1183
代表者名代表取締役社長 和泉 康夫 氏
設立1953年(昭和28年)
事業内容超精密金型部品、特注金型部品、
超精密金型(プレス・プラスチック)

ファスナー製造業から金型製造業へ転身して業容を拡大

▲会議室に展示されている「寿司屋型ものづくり」のイメージディスプレイ。「旬のネタを鮮度よく、明るく元気に提供するものづくり企業」を標榜している

昭和28年、和泉氏の祖父が創業したスライドファスナー製造会社が新日本テックの前身である。昭和50年、先代社長の和泉慶男氏(現会長)はスライドファスナー事業に見切りをつけ、金型製造業へと転身した。昭和60年には、精密プレス金型の設計・製作に本格的に着手。業界でもトップクラスの超精密金型・金型部品製造企業へと成長する基盤を築いた。

一方、和泉氏は大学を卒業後、大手家電メーカーに就職したのだが、平成3年28歳の時、先代社長が体調を崩したため、新日本テックに入社した。和泉氏は金型設計、営業、品質管理に取り組みながら、加工能力のさらなる向上を目指し、放電加工機、ワイヤカット、超精密成形研削盤など最新鋭の設備を業界に先駆けて次々に導入。業容を拡大することに成功した。
平成18年には、3代目社長に就任。順風満帆に業績を拡大させていた平成20年、リーマン・ショックで市場は一気にしぼんでしまう。

「その頃から、我々の主力市場である弱電業界における、構造的な問題が露わになってきました。デジカメがスマホに追い落とされたように、今まで売れていた勝ち組が新たな技術や商品の登場で、あっという間に転落していく劇的な変化が、金型業界をも大きく翻弄していました。この時代に生き残るには、常に今何が旬のネタなのかを見極め、世の中に必要とされる技術にフォーカスして経営を機動的に変化させていく、“寿司屋型ものづくり”に脱皮するしかないと考えたのです」
ここから、新日本テックの「変革と挑戦」が始まる―。

常識破りのダイヤモンド金型部品の開発で、「金型の長寿命化」を実現

▲超硬合金以上の硬度をもつセラミックス、焼結ダイヤモンド等の材料で金型部品を製作できるのは、新日本テックならではの強み

新たな市場として和泉氏がターゲットにしたのは、ものづくりの現場に山積している“お困り事”を解決するソリューション事業であった。最初に手をつけたのは、顧客ニーズの中でも最も多い「金型の長寿命化」である。一般的な金型に使用される超硬合金よりもさらに硬いダイヤモンドを使った、常識破りの金型部品開発に取り組んだのだ。

しかしダイヤモンドを金型素材にするには、「(1) 研削し難い (2) 高温で劣化する (3) 電気加工ができない」といった3大難点を克服する必要があり、自社技術だけでは到底かなわない。そこで和泉氏は、行政機関の情報網を活用しようと考え「戦略的基盤技術高度化支援事業」のコンソーシアムに参画。各分野の専門家から技術指導を受け、見事製品開発に成功した。

「ダイヤモンド金型部品は、コストは通常の金型の3倍しますが、寿命は50倍に伸びます。長寿命化で自分の首を締めるような製品をなぜ開発するのか、という声もありますが、日本の金型企業が、海外とのコスト競争に巻き込まれずに生き残っていくには、こうした機械化できない泥臭いソリューション技術を磨くしかないのです」

この時の成功は、国の支援制度を活用して、大学や研究機関と一緒に取り組むコンソーシアム型の技術開発の有用性を和泉氏に気づかせてくれた。この経験を活かして和泉氏は、「こんな技術があればいいのに」という、ミッシングリンクをつなぐ新要素技術の開発に邁進していった。

新技術は「鰻丼の山椒」みたいなもの、本業を活かす引き立て役

▲ブレードだけ購入すれば、自社設備にそのまま装着して使用できるという低コスト性も、中小企業にとってはありがたい

ダイヤモンド加工のノウハウを活かして開発した「PCDダイシングブレード」は、超硬合金やSiCなどの加工の難しい高硬質材料を、欠けや蛇行なく高品位に切断することができるブレードとして、平成23年に「新連携事業」の認定を受け、平成24年に「中小企業優秀新製品・新技術賞優秀賞」を受賞。

平成23年の「ものづくり日本大賞 優秀賞」を受賞した「カス上がり防止レーザ加工」では、プレス加工現場でのカス上がりの発生を激減させ、打痕不良発生率も9分の1に減少、金型メンテナンスの工数を大幅に削減するという生産性向上を実現した。

この他にも、粘着フィルムなどの型抜きの生産性を向上させる撥水・撥油・非粘着「SNフッ素コート」、樹脂製品などの射出成形機の生産性を向上させる「冷却スプルーブッシュ」、さらにそこに省エネ性を付加する「遮熱ハット」の開発など、ソリューション事例は次々に増えている。

こうした一連の新技術を和泉氏は、「鰻丼の山椒」に例える。
「うちの本業はあくまで金型部品加工。新技術関連の売上は、全体の10%程度です。でもこれは鰻丼の山椒と同じで、脇役だけど、主菜の引き立て役としてなくてはならない存在。同業者の中から当社を選んでもらえる差別化ポイントとして、小粒ながらピリっと効いています」

さまざまな難題を、多くの研究者や専門家の協力によって克服してきた和泉氏は、「人との出会いの重要性を以前にも増して痛感するようになった」という。

「同じ悩みや研究課題を抱えて道なき道を漂流している者同士が遭遇すると、『あ、この人、何か知っているな』とピンときます。そういう人に教えを請うと、まったく気づかなかった打開策が見えてきます。それまでばらばらだった星が突然整列して、規則正しい星座となって浮かび上がる感激の瞬間です。だからものづくりは面白い。そんなふうにして、生きてきた証が残せるような仕事を、これからも続けていきたいですね」

MOBIO担当者より

「本業がうな丼なら新事業は一味変える山椒」とのたとえ。その「ひと振り」の製造の困りごと解決策立案には、外部とのつながりを活かし仮説を実証していかれる、和泉社長の強いリーダーシップがありました。(兒玉)

取材日:2014年3月11日(火) ライター:三浪伸夫

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