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MOBIO入居企業・常設展示場出展企業のスペシャルインタビュー

ものづくり中小企業の変革と挑戦を支援しているMOBIOでは、MOBIO 常設展示場出展企業様・インキュベートルームの入居企業様の「 変革と挑戦 」について、取り組みのきっかけ(背景)、 具体的な内容などをインタビューしご紹介していきます。ここにはヒントが沢山詰まっているはずです。 じっくりお読みください!

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異素材と化学薬品の組み合わせで画期的な新製品を開発

佐々木化学薬品株式会社 代表取締役 佐々木 智一 氏

佐々木化学薬品株式会社
代表取締役 佐々木 智一 氏

会社名佐々木化学薬品株式会社
住所〒607-8225 京都市山科区勧修寺西北出町10
電話番号075-581-9141
代表者名代表取締役 佐々木 智一 氏
設立1958年(昭和33年)
事業内容試薬および化学工業薬品の開発・製造販売

顧客のお困りごとを解決する「金属表面処理剤」を次々に開発

戦後間もない1946年、佐々木氏の祖父が京都市東山区で開業した小さな薬局から、佐々木化学薬品の歴史はスタートした。
初代社長が薬品メーカーとしての基盤を築き、3代目の父がそこに商社機能を加えることで、同社は業容を拡大させてきたが、創業期から一貫して変わらぬ営業姿勢がある。顧客のお困りごとをヒアリングして、そこから課題解決型の商品を開発するソリューション型営業である。
市場に潜在するニッチなニーズに耳を傾けながら、常に変革と挑戦を続けてきたのが、同社の歴史ともいえる。

「弊社の最初のヒット商品は、1969年に誕生したステンレス化学研磨液『エスクリーンS-200シリーズ』です。ブラウン管テレビの電子銃部品のバリ取り用に開発されたものなのですが、当時の家電メーカー市場では、100%のシェアを握っていました」
こうした、金属表面処理剤の開発は、創業期以来、同社が最も得意としてきた分野である。
1970年に誕生した鉄・銅・銅合金用中性サビ取り剤「エスクリーンS-800」も、仏壇仏具装飾企業の要望から生まれた課題解決型商品である。「塩酸や硝酸などの劇薬を使用せず、素地へのダメージが少ない酸化皮膜除去剤はつくれないか」というニーズから開発された。

▲人にも環境にもやさしい中性サビ取り剤「エスクリーンS-800FR」

「臭気改善型のエスクリーンS-800FRとして、今も改良を加えながら売れ続けている、弊社のロングセラー商品です。液晶テレビがヒットした時代は、バックライトに使われている電子部品のサビ取り用によく売れましたが、LEDの普及で一気に市場が消滅。と思っていたら、今度は太陽光発電市場が活況になり、太陽電池製品向けの用途に急激に売上が伸びています。いずれの製造現場でも、中性で扱いやすい点が喜ばれています」

画期的な溶接焼け除去剤の開発で「関西ものづくり新選2016」を受賞

▲ノンフッ素溶接焼け除去剤「エスピュアSJジェル」

4代目社長に就任して以来佐々木氏は、次世代商品や新規サービスの開発、自社ブランド商品の拡充などに取り組んできた。その中から、近年のヒット商品であるステンレス鋼用ノンフッ素溶接焼け除去剤「エスピュアSJジェル」は誕生した。悩みを抱えていたのは、水質・環境問題に高い意識を持つ溶接企業であった。
「人体や環境に負担の少ない溶接焼け除去剤はないか。特に硝酸やリンを含まない排水課題を解決できるタイプがほしい」という要望があり、2010年に開発に着手。液体ではなく、ジェル状にすることで、使える箇所も拡がり、排水課題の低減にも繋がると研究員は製品開発に奮闘した。

毒劇物を使わず、塩酸系の薬品で溶接焼けが除去できるめどはついたのだが、ジェルの状態を保つのにちょうどいい配合割合を見つけるまでに3年の時間がかった。しかし苦労のかいあって、2012年に発売した同商品は、「塗布するだけで反応する手軽さ、排水問題も低減される」と好評で、溶接事業者の間でも、「ジェル状なので、ピンポイントで塗布でき、必要以上に薬液を使用せずにすむ」と喜ばれている。

「溶接焼け除去後の金属表面状態を確認するため、公設の試験研究機関で試験分析をしてもらいましたが、従来の硝フッ酸処理と同等以上の耐食性を持つ保護膜が形成されることが実証されました」。
こうした公的機関のデータにより、毒劇物などの強い薬品を使わず、人体や環境への負担を大幅に軽減した方法で溶接焼けが除去できるという評価が高まり、「関西ものづくり新選2016」などの各優秀技術賞を受賞している。
毒劇物ではない同商品は、ネットでも販売ができる。そこで、3サイズのパッケージ商品をつくりネット販売を開始したところ、これもコンスタントに注文がくる事業に成長した。特に300gの使いきりサイズが、小さな町工場の溶接現場で人気があり、現在では60社あまりのネット通販業者が取り扱う、溶接業界の隠れたヒット商品となっている。

小回りのきく中小メーカーならではの「造り酒屋型」の製造方式

佐々木氏は自社のことを、「造り酒屋的な化学薬品メーカー」と説明する。マスプロダクト型の大手メーカーでは思いつかない、異素材と化学薬品を混ぜ合わせることで、数々の秘伝のレシピを編み出してきた研究開発スタイルを形容したものだ。
大手メーカーではできない、特注品の開発にきめ細かく対応できるのは、大規模な製造ラインを持たず、多品種少量生産が可能な製造設備を核にしているからだが、まさに、小回りがきく中小メーカーならではの強みを生かした、錬金術型の製造方法である。

▲機能性樹脂「ドライキープ」

1989年に、「樹脂ペレットに吸湿剤を練り込む」ことで誕生した特許取得製品「ドライキープ」も、そんな「混ぜ合わせの化学」から生まれたヒット商品だ。
「ドライキープ」は、樹脂と乾燥剤が一体化したペレットから成形するので、袋や容器などの成形品自体に吸湿機能を持たせることが可能。シリカゲルなどの乾燥剤が不要なので、付加価値の高い医薬品や食品の包装材としてよく売れている。面白いところでは、「高級だしの個包装材としても好評」だという。省資源化、製品の長寿命化に貢献できるという点が認められ、平成27年度京都エコスタイル製品へ認定された。

陣頭に立ち、新たなチャレンジを続ける佐々木氏は、次なる変革のテーマも見据えている。
「創業以来、薬品にかかわる事業を続けてきましたが、今後は、薬品にとらわれない事業にも挑戦したいですね。サイエンスで事業領域を広げ、将来的には、顧客の生産性をあげるサービスや、環境や人にやさしい技術開発など、時代にマッチした事業を展開していくつもりです」

MOBIO担当者より

現場に入ってユーザー・ニーズを発掘し、その適時適量を開発・製造するソリューション型営業が企業の基本。化学薬品と異素材の「混ぜ屋」と自称する佐々木社長は、さらに便利で安全な製品を開発し一つ上の価値を創造するという、新たな挑戦目標を掲げて邁進しておられました。(兒玉)

取材日:2016年3月17日(木) ライター:三浪 伸夫

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